立礼

 
両手が膝頭に達するのが深い礼、指先が少し下がる程度が浅い礼、その中間が普通の礼と覚えておきましょう。
深い礼でも、浅い礼でも屈体している時間は同じです。吸う息で屈体し、吐く息だけとどまり、吸う息で起き上がる『礼三息』は、どんな相手に対しても折り目正しく、しかも自分自身の精神状態を安定させる効用もあります。相手と呼吸を合わせるということは嗜みとして必要なことです。

浅い礼

普通の礼

深い礼
 
周りの人のお辞儀の仕方を観察してみましょう。

男性は上体を傾けると同時に、何故か両手でお尻を押さえる人が多く見られます。この男性のお辞儀は、体を曲げたときに後方に出るお尻を押さえながらバランスを取っています。

女性は上体を傾けると同時に、前へ手を合わせる人が多く見られます。女性の手を組んでの礼は、おしとやかにというつもりなのでしょうが、両肩が前に出て、不健康に見えます。また、古流柔術では、急所を守る構えであり、お辞儀としては不適切です。

座礼
小笠原流では『九品礼』といって、座礼を九種類に分けて、場合に応じてふさわしい礼をします。
  1. 首礼(しゅれい)
  2. 目礼(もくれい)
  3. 指建礼(しけんれい)
  4. 爪甲礼(そこうれい)
  5. 折手礼(せっしゅれい)

6. 拓手礼(たくしゅれい)
7. 双手礼(そうしゅれい)
8. 合手礼(ごうしゅれい)
9. 合掌礼(がっしょうれい)

これらは相手への敬意や親しさ、その場、その時によって自ずと使い分けられます。お辞儀は相手と心が通い合ってこそ、生き生きとしたものとなります。
指先の親指と人差し指が接した時が一番深い合手礼となります。このとき、親指と人差し指の隙間が鼻の位置より前に出るとお辞儀ではなく、平伏になってしまいます。また動作では上体の傾斜に伴って両手がついてゆくことが大切です。一般的には手をついてから上体を屈する人が多く見られます。

指建礼

折手礼

双手礼

合手礼

合掌礼

合手礼・手の位置
 
 
 
座礼で最も気をつけたいのは、体と手がばらばらになっているお辞儀です。ぴょこんと下げる頭の礼、いきなり畳に手をつく手の礼、何れも落ち着きのない、また心のこもっていないお辞儀であり、もっとも多く見かけます。よく『三つ指ついて』という言葉を耳にしますが、これは形だけのお辞儀で最も悪いお辞儀です。
座礼は正座の上体をそのまま傾けながら、手を膝の横に添って、自然に前に移していくのが正しい作法です。ヒジを張らずに、お尻がカカトから上がらないように注意します.

頭だけの礼

三つ指ついて

よく見られるお辞儀

ヒジを張ったお辞儀

お尻がカカトから上がったお辞儀

手だけの礼